内閣不信任制度と政界再編

毎日新聞様へ(メディア人様へ)

社説:70日延長 国会こそ復興の道歩め
毎日新聞 2011年6月23日 2時32分

 国会は最終日の22日、会期を8月31日まで70日間延長することを決めた。延長幅をめぐる協議が二転三転し、菅直人首相の退陣時期を含めすべてが先送りされた観があるものの、新ステージに入ったのも事実だ。これを機に国会の再生を強く望む。

 最初に「90日間」、「120日間」、「50日間」、そして70日間と。バナナのたたき売りではあるまいし、与党の延長幅提示の混乱は目に余る。大幅延長を主張してきたわたしたちとしても残念な結果になった。まして、与野党幹事長会談で合意したことが翌日にひっくり返るのでは信頼関係も生まれまい。ねじれ国会の下、今後の協議に懸念を残した。

 次に、延長後の展望だ。11年度予算の財源根拠となる特例公債法案、二重ローン対策など1次補正の漏れを盛り込んだ2次補正予算案、太陽光、風力、地熱などで発電した電力の全量買い取りを求める再生エネルギー法案をどうするか。

 2次補正については、被災地や原発に万全の対応ができるよう、与野党がさらに知恵をしぼるべきで、これには野党も反対していない。早期の成立を望む。問題は残り2法案の扱いである。特例公債法案については、自民、公明両党がなお民主党公約の撤回を条件にしているが、そろそろ折り合いをつける時期ではないか。赤字財政の責任は、政治全体が引き受けるべきである。再生エネルギー法案については、目指すべき方向性は評価したいが、今後のエネルギー政策全体の中での位置付けや、政局が優先視されていることに対して、首相の明確な説明を求めたい。

 いずれも、与野党が延長幅を協議する中で、協調機運が強まることを期待していたが、振り出しに戻ることを恐れる。何度も強調するが、これ以上の政治空白は許されない。通常国会の会期延長は一回きりである。残された会期を新しい土俵にして、これら3懸案や新たに生じる立法要請に対し、接点を求め合意に向け努力を重ねてほしい。

 さて、菅首相の退陣時期である。これについては、21日夜の菅首相岡田克也民主党幹事長との間で第3次補正予算案は「新しい体制で」対応することで一致した。岡田氏が野党との折衝で「新たな首相の下で」としていたのを菅首相が表現を変えさせた。新体制が何を意味するのか不明だが、首相はいたずらに不信感をあおるべきではない。退陣のめどを明示するよう、重ねて求める。

 貴重な70日間。今度こそ与野党が協力して被災地を正面から見据えた政治を作り上げてほしい。政争はもう見たくない。その意味では、国会こそ復興すべきだろう。でなければ、本当に国民から見捨てられる。


24日にも改造=8月解散も、山崎氏に見通し―国民新・亀井氏

時事通信 2011年6月23日(木)18時11分配信

 国民新党亀井静香代表は22日夜、都内で自民党山崎拓前副総裁と懇談し、菅直人首相が24日にも大幅な内閣改造を行う一方、8月末に衆院解散の可能性があるとの見通しを伝えた。山崎氏が23日の山崎派総会で明らかにした。


ここ3か月、もはや「政治」というのもおこがましいような状況が続いているように見えます。

しかしながら、やっと毎日新聞が国民に近付いてきてくれた感じで何よりです。

本当の問題は一体何なのか?
議員個人の資質の問題や少数政党には酷な現在の選挙制度の問題は、余りにも当たり前の問題なので、この場では脇に置いておきます。

マスコミは「脱原発解散」、亀井静香さんも「8月解散も」などと言い始めています。
ちょっと待って下さい。

今の状況では、どこの政党に入れたらどうなるのか、さっぱりわかりません! わかるはずがありません!
政党はいくら何でももう少し旗幟を鮮明にしてもらわなければなりません。
それも根拠と論理をもって。

解散の前に、
・公務員人件費削減の具体的プラン
・東電の市場退場と何百兆円の賠償金問題についての具体的方針
・電力業界の自由化の具体的プラン
・メガフロート型風力発電への積極性
・米軍基地をどのように分散させて沖縄の米軍基地負担をどのように減らすのか
男系天皇のみで行くのか、女系天皇を容認するのか
増税しても橋本増税の時のように大不況に陥らないという根拠ある論理的説明
これらの政策の中味の違いで、政界再編して欲しいところです。


ねじれでも政治が機能するためには、
1)米国大統領制のように行政府と立法府とが完全独立しているか、
2)英国議院内閣制のように党議拘束が基本的に無く、内閣が与党の造反を招いていても野党の支持を得られる仕組みにになっているか、
3)日本国憲法そのままに内閣不信任制度を機能させ、与野党双方がその内閣の存在そのものには合意できるまで、
与党議員でも内閣不信任案を自ら出せ自ら退場させることができるように政党の制度(文化)そのものを変えるか、
のいずれしかありません。
とりあえず、3)を十分に試してみるべきだと思います。
内閣不信任制度は、憲法に明確に定められている制度であるにもかかわらず、戦後、いまだかつて十分に機能したことがありません。
これはこれで十分危機的問題です。

実際、菅直人内閣や麻生太郎内閣等が一度首班指名選挙で選出したからという理由だけでいつまでも延命できてしまうことに国民は国会議員全体の根本的な無能さを感じ取ってしまっています。

また、政党の内規で内閣府新制度が実質的に機能し得なくさせられてしまっていることも憲法違反の大問題です。
国民の代表としての国会議員の存在も、政党の内規によって不可能にさせられてしまっています。

いわば、日本の政治全体が、何重もの憲法違反のぬるま湯状態に陥っているわけです。
これでは日本の政治がまともに機能するはずがありません
この何重もの憲法違反のぬるま湯状態をこそ、マスコミが徹底的に指摘すべき問題です。